最近、よく聞くマインドフルネスとは、元々東洋の修練法であり、健康増進のため、または病気を克服するための方法でした。しかし能力開発などの様々な分野に活用されており、現代では欧米(特にアメリカ)に紹介されて「心身の修練法」として流行っています。
このマインドフルネスのやり方は、「今の自分に“集中”する」と言う、とても簡単な方法です。すぐに覚えられる内容ですが、どれだけ自分自身を集中させることができるかという点において、実際には簡単ではありません。なお、こうした方法は、日常生活の中においても、自分のことに集中していきながら、自己を高めること(脳力を活性化)ができます。

一般的に人間の「集中力」は、(その集中の度合いにもよりますが)まず一つの目標に向かって一所懸命の集中している場合であり、まるで全身に緊張が走り、ずっと力が入ったような状態で集中をしている場合です。このように一つのことに集中して行っているか否かでは、結果が大きく変わってしまいます。また“集中しやすい状況”か、逆に“しにくい状況”かと言うことで、結果が違ってくるでしょう。
それでは、「集中しやすい状況」とは、どんな時でしょう。たとえば、ゆっくりしているような場合です。また、(例えば)パンを食べようとした時、まずそのパンを見て、手でつかみ、口に運ぶといった一連の動作において、そのことに“集中している”と言えますね。さらにパンも噛んで、味を感じている時には、他のことを考えていたりしませんから、集中していると言えます。しっかり意識をして集中している(できる)のであります。

それでは、私たちが実践している少林寺武術の練習については、どうでしょうか?少林寺武術の特徴は、なんと言っても速い動きの連続であり、スピード感が一つひとつにあります。なお、武術の大会等でよく見る競技用の「長拳」も、とても速い動きですが、元は少林寺の武術です。
日本には武道、そして世界にも様々な格闘技がありますが、中国武術の中だけでなく、世界中の格闘技の中で一番速い動作を行うのは、少林寺武術と言えるでしょう。多くの方はカンフー映画をご覧になったことがあると思いますが、格闘シーンでの少林寺武術の動きがとても速い、という印象を持たれたと思います。もし皆さんが、少林寺武術の練習をする場合には、しっかり集中して(カンフー映画のような)実践をしていかないと、より深い根本的な部分ものを習得することはできないのです。
次に身体の動きは、力を入れて行う部分と力を緩める部分があることを意識して練習していかなければなりません。単に動きが速いというだけではありません。たった一秒間という短い間に、緩めていた力を瞬間的に出す(その逆も同様)というようなことを、何度も繰り返し、チェンジさせながら、連続の動作をしていく必要があるのです。少林寺武術の動きにおいて、身体は力のコントロールをいたしますが、短時間に「動作」と「型」の交互の繰り返しを連続で行っていくのです。そのため全身で集中していかなければ、瞬時にある部分の力をコントロールさせて緊張を与えたり、緩めていったりすることは大変難しいことなのです。気を緩めることなく、連続した動きがある「型」を行うことは至難の技でしょう。
さらに「動作」や「型」は、部分的な力を入れたり抜いたりするだけでなく、全身を使って力をコントロールさせながら、大変難しいポーズをとるものもあります。少林寺武術は、決して体操のような簡単なものではありません。その難しさ(またそれは美しさであります)は、(どうぞ皆さんはカンフー映画を思い出して想像してみて下さい)瞬間的にいろいろな難しい動作からパンチやキックなど手足の動きや全身を使った移動などの動きは、その動きは瞬間的にも止まらず、速いスピードで流れるように動いていきます。こういった段階では、高レベルの集中力を持って行わなければ、もう不可能なことであります。そして、まさしくこの状態がマインドフルネスにおける高いレベルの段階とおなじであると言えるのです。
少林寺武術の練習で、自分自身に対し、以上のように高レベルな要求をさせていくのです。そしてとても深い集中をさせていくのです。その結果、その動作の中から生まれる力(パワー)は、マインドフルネスの高級なクラスのレベルと同様な状態なのです。
また「型」を行う場合、武器も使用いたします。両手に剣を持ったり、棒を持ったりして行うこともあります。(一般に言われます)十八種武芸の18種類の武器は、高スピードの華やかなパフォーマンスでありますが、単にスピードが速いだけでなく、自分の心と身体は一つにならないといけません。両手と両足が瞬時に、自在に動かしていく難しさがあり、その動きの中にある“攻撃”と“防御”は、武器を使用しながら繰り広げていかなければならないのです。
その上で発揮される力(パワー)は、気、心、体、さらに武器は一つになることが大切です。そして、この一つになっている時こそが、「最高の集中である」状態と言えるのです。
さらに少林寺秘伝七十二芸は、それぞれが身体の超常能力の訓練であります。全身が特別な能力が発揮できるように少林寺秘伝七十二芸はあるのです。これらの実践では、全身のあらゆる部分に意識を集中して行わなければ、特別な能力や力(パワー)は生まれません。もちろん、いくら頑張っても短期間で身につくようなものでもありません。続けていきながら、少しずつ変化が表れていきます。ですから根気を持って、しっかりと継続させることが大切です。
以上のように、日々訓練を重ねていき、マインドフルネスの高級なクラスのレベルまでと同様に達していける特徴を「少林寺武術」にもあるのです。

次回(後半に続く「心身の増強法への効果」など)