黄帝内経、あるいは古い時代の健康に関する書物において、あらゆる生き物は「春」に生まれ、「夏」に成長し、「秋」は実り・収穫、「冬」は保存するという流れを示しています。分かりやすい例で言いますと、農作物(中国の北のほうの文化になりますが、主に小麦、トウモロコシなど)は、春になりますと種を蒔いて、芽が出てきます。※冬を越せない動物(熊など)や昆虫などは冬眠から覚めて、出てきます。次に夏になりますと、太陽の光のエネルギーは一番強くなり、植物・農作物の葉っぱも成長して大きくなっていきます。生命が繁栄して、生命力が一番強い時季です。続いて秋になりますと、果物や農作物などに実がなり、収穫の一番多い時季です。そして冬は寒くなりますが、植物などは太陽からのエネルギーをあまり吸収できません。そのため、自らの命を守るために葉っぱを枯れさせます。そしてエネルギーは根っこの部分に集めています。
こうした植物(農作物)などの時季の変化は、私たち人間にも影響を与えます。春は花が咲き始め、また新緑によって新しい気持ちにもなり、私たちの気分も上昇していきます。ですから(黄帝内経により)少林寺気功の練習は、できるだけ植物をイメージして、春は枝葉や枝の広がりがあるときですから、少林寺気功の動作も大きくします。夏は太陽からのエネルギーが一番多いですから、少林寺気功の練習の強さを高めたり、基礎的な訓練をしたり、土台作りをしていきます。秋は実をつけるというイメージから、実績を作る、成果・結果を出すという時季でしょう。よく“スポーツの秋”という言葉がありますが、私たちもこれまで練習してきた少林寺気功の成果を出すことです。一年で一番良い実績が出るでしょう。一方で修練の度合いは少しずつ弱まっていきます。動作もだんだん小さく、エネルギーやパワーは内側に向いていきます。
さらに冬になりますと、(保存の状態を表す時季ですが、)エネルギーを蓄え、他の季節よりエネルギーは少なめです。そのため動功より静功を増やし、体力を使いすぎず、消耗させないことです。睡眠時間も多くすることです。早く寝て朝は少し遅くしても良いでしょう。私たちは大自然のルールに従って行動すれば、健康を保つことができます。このルールを無視した生き方をすれば、体を壊すことになります。これがいわゆる「天人合一」なのです。