【第六章 気功の消化器系統に対する効果】
第二節 気功の消化道各部分に対する効果(第一節は、都合により未掲載とさせていただきます。)

(一)気功の口腔内消化に対する効果(1)
消化は口から始まる。食物は口の中で噛み砕かれ、唾液と混ざって飲みこまれて、消化される。
 唾液は、口の中にある耳下腺、下顎(かがく)腺、舌下腺、唇内、および口の中の粘膜にある小唾液腺から分泌されるものの混合液である。
 唾液は無味無色で、中性に近い(PH=6.6~7.1)、浸透しにくい液体であり、正常成人は一日当たり約1~1.5リットルを分泌する。唾液内の水分は約99%で、その他は有機物と無機物から構成されている。有機物は粘液蛋白を中心としており、その他には球蛋白、アミノ酸、尿酸および唾液澱粉酵素、溶菌酵素、腎上腺皮質ホルモン、インシュリン、高血糖素、神経成長因子、上皮成長因子、唾液腺ホルモンなどが含まれている。無機物には、ナトリウムやカリウム、カルシウム、塩素、アンモニアなどが含まれている。唾液中の粘液蛋白は、主に唾液腺の粘細胞から分泌される。また、漿液(しょうえき)細胞は、主として希薄な唾液を分泌しているが、粘蛋白はほとんどなく、唾液澱粉酵素が多く含まれている。分泌型免疫球蛋白は、主に唇の内側や舌の上、口の中の粘膜にある小唾液腺の分泌細胞から、分泌される。インシュリンは、耳下腺細胞から分泌され、高血糖素は、下顎腺にある腺細胞から分泌される。