連載「少林寺の秘話」
24.捶譜堂にある泥人形の意味 中編

  五番目は「大洪拳(だいこうけん)」です。これは、少林寺武術の中では中級に位置する武術で、このひと組の動きから始まって、次第に難度が高い動作が増加していきます。攻撃も防御もあって非常に実用的なものです。剛と柔はお互いに助け合うものであり、柔を行うことによって剛をなします。一見すると柔でも剛でもありませんが、実戦時には柔でもあり剛でもあり、柔の中に剛があります。そして、機に応じて動き、絶えず変化していくものでもあります。その練習が完成したあとは、指は柔らかい動きをしていますが、触れると鉄のようです。黙って立っていると、呆けたようにしか見えませんが、いったん動き始めると、その動きは敏捷で、あたかも猿のようです。敵に傷を負わせることも可能ですが、どうやって負傷させたのかは見てもわかりません。また、敵をつまづかせることも出来ますが、つまづかされた本人は、どうやってそうなったのか、自覚できません。この拳法を長い間練習していると、全身の動きが機敏になり、敵の動きにしたがって自在に変化させ、常に半分の動きで効果を倍増させることができるようになるのです。

 六番目は「六合拳(ろくごうけん)」です。この六合とは、すなわち内には「精、気、神」の三合が含まれ、外には「手、眼、身」の三合が含まれますが、内外を融合させることが「六合」の特徴です。通常、眼と心、心と気、気と身、身と手、手と脚、脚と股間の融合を指しています。「六合拳」の種類は多いのですが、良く使われるものには、咬手六合拳、開手六合拳、耳把六合拳、ti(足へんに賜の右半分)打六合拳、走馬六合拳などがあります。このグループの泥人形は、六合による一対一の闘いを表現しています。滾手虎座(ごんしょうこざ)や、上歩対錘(じょうほたいすい)、震脚衝天炮(しんきゃくしょうてんほう)など、技は攻撃なしで防御をし、攻撃と防御を兼ねていて、華美なポーズはありません。

 七番目は「通臂拳(つうひけん)」です。この拳法は「猴拳(こうけん)」をもとにしたもので、「通臂」とは「通臂猿」という腕を自由に伸縮できるという伝説上の猿のことです。「通臂拳」は少林寺武術の中でも比較的上級の拳法で、難度が高い技が大量に増加します。守りも攻めもありますが、守る時は金のごとく固く、敵が攻撃できるような一分の隙もありません。攻撃する時は、激しい勢いがあり、全ての技は人を死に至らしめます。金沙飛掌(きんさひしょう)、打虎靠山(だここうざん)、定心?拳(ていしんひょうけん)、二郎担山(じろうたんざん)など、そうした技は激しい勢いで、とどまることなく変化しつづけるので、捉えることができません。

 八番目は「羅漢拳」です。この拳は十八羅漢のそれぞれ異なるポーズをもとに作られたものです。始める時は必ず合掌しますが、これは童子が観音様を拝む型です、その中には羅漢が眠っているものもあります。羅漢拳は十八羅漢のそれぞれの特徴にもとづいて作られているので、十八の型に分かれています。その大切な要点は、方法がそれぞれ異なる特色をもち、特別なものであるということです。

 九番目「朝陽拳(ちょうようけん)」朝陽拳は少林寺武術の中でも、だらだらした動きはけっしてしない、最も完全な勝利を求めて方法を講じた拳法です。丹田から気を発し、全ての力を手のひらに集めます。実情に応じて力を使い、気を出して声を出します。練習の度合いが進むと、全身に力がみなぎり、手のひらの力が足の裏にも伝わりますが、不意をついたその思いがけない動きは、あらゆる人を驚かせるものです。

 



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