論文:中国伝統武術の世界での普及と訓練方法

 

著者による日本での10年間の経験と研究による考察。

中国伝統武術は、どういう風に世界に広まったか。特に科学技術が発達し、経済的に発展している国の中で、普及させるにあたり重要なことは、伝統武術の存在理由と条件が挙げられる。伝統武術を広める為には、伝統武術の具体的な広める為の訓練方法が必要であり、各国の広める年齢層にも関係する。たとえば、青少年・児童・中高年・男性・女性・・・。また効果は、ただの体育競技のとしてだけではなく、内容は、健身・美容・健美・強身・精神統一・護身・文化面の吸収などがある。具体的な普及方法は、全方向であると考えられる。また、普及の為には、マスコミに注目される内容が求められる。同時に定期的な試合・各国武術組織を代表する各武術組織を設立することも求められる。また、世界的に広める為の人材と管理する人材を養成する必要がある。

 

中国伝統武術の日本での普及の実情は、『武芸』という雑誌に掲載されている日本を代表する中国武術組織は、314組織。『秘伝』に掲載されている日本の伝統武術の組織は、56組織。これは、中国伝統武術が、日本で一様に広まっていることを示している。特に太極拳のような健身・病気予防に効果のある功法は、動作がゆっくりで美しいので、特に中高年に人気になり、広まった。実際、アジアの試合競技の一つにもなった。また、日本の少林寺拳法連盟の開祖宗道臣先生は、少林拳と日本の伝統武術を結び付けて日本少林寺拳法を作られた。これは、日本の青少年の間に広まった。

内容が深く風格がある伝統武術が、日本各地にて一様に広まり発展したと言える。しかし、日本の柔道、空手、テコンドーなどの世界的広がりや発展に比べると、まだまだである。

しかし、中国は、2008年のオリンピックの機会を各国の伝統武術の発展に協力、支持し、広めるチャンスとしている。この中国の指導により、広まる速度が速くなると思われる。ゆえに、著者は、日本で少林寺武術を10年間広めてきた経験をもとに見解を述べたいと思う。

 

 

一、文化・健康・護身・健美・痩身、全方向で武術は、必ず大きな効果を生む

少林武術の特徴は、スピードが速く、体の質を高めるので、青少年に人気がある。一般的には、中高年には、あまり向かないと考えられている。表の@の横浜・東京のカルチャーセンターのデータでは、スピードが速いのは、あまり人気がないことを示している。しかし、もし少林寺気功、たとえば呼吸法・座禅を武術と共に練習すれば、中高年でも少林拳の練習はできるのである。

カルチャーセンターのデータによれば、日本の武道は129名、スピードの速い中国武術は、23名の参加があり、また太極拳は、122の教室、気功は78の教室、護身術は12の教室が開催されているとなっている。

当協会での現在までの登録は数百人、教室参加人数は数千人であり、テレビ・雑誌・新聞の取材も多い。日本テレビのCS放送で毎日放送されている著者の健康番組は、そろそろ2年になる。これは、健康関係の番組放送の記録でもあり、社会的に評判になった。

では、なぜ伝統武術が日本で必要なのかを分析すると、以下の原因があると考えられる。

カルチャーセンター(東京・横浜) 教室数 集計表 (2004/7/7現在)

カルチャーセンター名

日本武道

中国武術

太極拳

気功

護身術

大泉カルチャー

0

0

1

1

0

NHK  青山

0

0

4

3

0

NHK  光が丘

0

0

2

3

0

NHK 東陽町

0

0

0

3

1

NHK 町田

0

0

3

1

0

NHK 八王子

2

0

1

0

0

恵比寿社会保険福祉センター

1

0

3

0

0

朝日カルチャー新宿

3

0

3

0

0

朝日カルチャー横浜

3

0

6

1

0

池袋コミュニティカレッジ

5

1

5

5

0

ヨークカルチャー府中

14

0

0

3

1

昭和の森 カルチャー

8

0

1

2

0

調布カルチャー

4

0

3

2

0

多摩カルチャー

2

0

2

1

0

羽田カルチャー

3

0

1

1

0

仙川カルチャー

2

0

4

1

0

サンシャインシティ文化センター

3

0

1

1

0

産経学園 銀座

1

0

3

4

0

同 新宿

0

0

2

1

0

同 自由ヶ丘

0

0

2

0

0

同 蒲田

1

0

2

2

0

同 綾瀬

2

0

2

1

0

同 吉祥寺

0

0

1

1

0

多摩カルチャーセンター(高幡不動)

3

0

0

0

0

同 聖蹟桜ヶ丘駅前

1

0

0

0

0

東急セミナー 渋谷

6

7

11

3

3

同 雪が谷

5

1

4

1

0

同 青葉台

1

1

4

3

0

アグリ 大井町

1

0

1

0

1

アグリ 上大岡

2

0

2

0

0

毎日文化センター

0

0

1

1

0

読売カルチャーサロン青山

0

0

1

1

0

読売日本文化センター新宿

8

1

3

5

1

同 恵比寿

4

1

3

3

0

同 荻窪

7

1

8

6

0

同 北千住

3

1

1

2

1

同 錦糸町

4

0

3

3

1

同 金町

3

0

1

1

1

同 町屋

0

0

1

2

0

同 大森

3

1

3

2

0

同 蒲田

5

1

4

1

1

同 八王子

4

1

3

3

0

同 横浜

15

6

16

4

1

合計 (43センター)

129

23

122

78

12

 


表二、少林寺気功体験者結果一覧表

 

 

 

 

 

 

 

 

@1998.11.20 - 12.21  10

 

 

 

 

 

 

 

A1999. 1.222.22    10

 

 

 

 

 

 

 

B1999. 5.286.28    10

 

              

  年齢

 身長(cm)

1回目 体重(kg)

 10回目 体重(kg)

 減少(kg)

体脂肪減少

@

  K . S

54

155

58.5

53

-5.5

-3

@

  M . M

43

156

54.5

49.5

-5

-3

B

  K . M

41

164.5

69.5

64

-5.5

-4

@

  Y . H

40

162.4

56

49.5

-6

-6

@

  H . M

39

160

66.6

50.6

-16

-16

@

  Y . T

62

158

55

50

-5

-4

A

  M . Y

52

151

52

47

-5

-4

A

  A . S  (男性)

64

161

67

61

-6

-4.5

A

   J . S

61

155

66.5

59.5

-7

-4

B

  T . N

54

150

61

54

-7

-6

C

  C . M

34

162

59

49

-10

-10

 

  Y . J

45

155

58

46

-12

-8.1

 

  Y . M

25

159

59

53

-6

-2.4

 

  K . K (男性)

63

174

88

82

-6

-3

 

(1)時代の必要性 (精神・肉体の技術的な統一)

一般的な考え方では、現代では科学技術の発展により、軍事の上では武術はほとんど応用の価値はないと考えられている。昔は、軍事の上で非常に有効であったが、現在では使えない。また、経済的な高スピードの発展に人間の生活リズム・レベルが高くなったので、武術より、健身・美容の面で簡単で覚え易く、リズムがはっきりしているエアロビクス・健身ダンス・健身体操などの方が好まれる傾向にある。しかし、生活の高リズム・高緊張生活の中では、強いストレスと精神分裂の状態なのが実情である。これは、簡単な肉体の運動や簡単な休養では十分に回復することができない。これを解決するのに必ず必要なものは、ある程度の深さと広さのある心身統一鍛錬方法でなければならない。そこで、広さと深さがある中国伝統武術は、この面で満足出来るものだといえる。

各国の武道の試合を観戦できることも影響している。プロレス、K1や何でもOKの総合格闘技のプライドなどでは、それらの組織、運営方式、参加選手などは、世界で一流といわれる。確かに視聴率も高く、切符もよく売れる。観戦後は、血気盛んな青少年たちは、自分たちもすぐに習いたくなるだろう。しかし、こういったものは、人の精神的な高揚感とか内部のものについてはほとんど特筆すべき点がない。もちろん、プロとしてよく試合に出ているような人たちは違うが、一般の人たちにとっては難しい。実際、そういった格闘技を色々体験した後、中国武術を選ぶ人もいる。

もうひとつ分析できることは、日本は経済発展が著しいので、スポーツとか健康運動に非常に便利な施設が揃っていることである。各県・市・区や地域の公民館などの活動施設、地域センターなどが利用可能で、そういうところでは、ほとんど毎日スポーツや趣味等色々な活動を行っている。また、そういう公共以外の私営のスポーツクラブやスポーツセンターやカルチャーセンターの中でも色々な教室や活動ができる。当協会の指導員は、今現在、東京各地の20何箇所のスポーツクラブ、スポーツセンター、カルチャーセンター、地域センターなどで気功・護身術などの指導をしている。こういったスポーツクラブなどの方針は、大体において売れる先生が必要となってくる。営利面が優先であり、生徒の人数が多ければ継続できる。また参加者の要求にも対応する形である。武道に関していえば、ボクシングや極真空手などの激しいものが練習できるところは、施設の中に少ない。逆に、中国伝統武術の中の気功・太極拳、或いはヨガなどの方が多いのである。また、日本の伝統武術の柔道や空手、或いはテコンドーもある。エアロビクスも人数が多いが、だんだん減る傾向にある。これからいえることは、世界の中での今後の武道の大きな方向性である。このことは、中国で参考にできる。今中国は日本の10年前と同じような道を歩んでいるといわれている。中国の事情は、中国武術の全世界的な発展に大きく影響する。中国にとって、肉体を鍛え、同時に心身統一・精神面の強化を含む運動は、将来の方向性である。

 

(2)少林武術の訓練の必要性

日本での著者の武術の教室は、各職業・各年齢などに対応している。年齢でいうと、今までに8歳から75歳までの参加者があった。少林拳は、習う時に柔軟性と体力が問題である。中高年や少し体力のない人たちは、準備運動の段階で体力が尽きてしまうかもしれない。そういう人たちには、正式な武術練習の前に少林内功の訓練が必要である。たとえば、武術に入る前に当協会の特徴である少林寺気功法の鶴功36式・虎龍双形・羅漢神功・少林寺易筋経・少林寺八段錦などの訓練をしておくと、先に精と気と神の内部の鍛錬、同時に適度な筋・骨・皮など外部の訓練になり、だんだん少林拳の全面的な訓練が可能になる。しかし若い人たちは、先に筋・骨・皮の訓練をしている人が多いので、逆にその場合は、徐々に精と気と神の訓練に入る。

一つのクラスの流れとしては、まず基本功の練習、丹田爆発呼吸法・武式呼吸法、動作の配合訓練を行い、次に正式な体力・スピードなどの強化訓練に移る。そうすると、疲労度が全く違い、体力は最後まで持つようになる。時間があれば、練習前に入静とゆっくりとした深呼吸を行うと、体力の回復が早くなる。

論文の最後のデータの中に人体の生理機能を測ったものがあるが、(図1)少林寺の気功・内功訓練の効果として、健身・ダイエットの効果がみられ、これは女性に喜ばれている。また、外気を受けたときの脳波のデータ(図2・図3)では、気功の効果の一つのα波などもよく見られる。少林寺の外気のテストは、厳しい条件の中でも、外気を出す強さは、普通の人たちより良い結果になった。外気のエネルギーの変化、体の中の気の流れなども色々測った。これは、内功の結果である。

このことは、青少年の潜在能力の発達だけでなく、中高年でも少林拳をできるということを示している。武術をやっているときの陰陽バランス、静と動、精神と肉体のバランス、全体と局部のバランスがとれるようになるのである。

 

(3)マスコミの影響力

ある武道、ある運動方法、あるスポーツが、国や地域に広まる為にはマスコミも非常に重要である。

たとえば、ブルース・リーやジャッキー・チェン、最近ではジェット・リーなどのカンフー映画は、中国だけでなく世界的に流行った(映画「少林寺」も世界中に広まった)。これは、中国伝統武術が世界に広まった大きな要因といえる。一つの武術団体、一つの組織、教師が外国で認められるためには、指導内容、実力、信用性以外にマスコミも非常に関係してくる。中国のマスコミ違い、経済発展国のマスコミは経済を軸にしているので、優秀性が問われる点である。東京のある大きな組織は、登封市の武術学校の中で結構レベルの高い一人の先生を呼んできた。この組織は、少林武術を広める為、非常にお金をかけ、広告にも力を入れた。しかし、結果的にはあまり良い成果が上がらず、その講師は、1年の契約が終わったら帰ることになった。この組織は、知名度があったが成功はしなかった。

著者の協会は、大体毎年テレビや新聞などの取材がくる。演武の依頼もある。その中には、伝統文化を紹介したいところ、またあるところは健康、あるところはダイエット、あるところは少林寺や少林武術に興味があるところなど、取材も色々である。しかし、どのような形でも一度紹介されると少林寺の宣伝の効果はある。こういう方法は、たくさん費用を注ぎ込んだ広告より信頼性が高い。このことから、先ほどの優秀性が問われるということが説明できる。単に武術の型がどうこうということだけではなく、社会的な色々な要求に対応できる総合的な力がなければならない。たとえばテレビでは、型の演武だけでなく、ある時は、特別な技能や刺激性が必要である。これは、マスコミ的な宣伝性、たとえば、日本の場合はお笑い等である。雑誌では、ダイエット・健康を紹介する以外、有名な人との対談等がある。そういう時には、ある一定の理論のレベルが要求される。そして、本の出版にあたっては、武術・内功等の広く深い知識と認識がなければならない。

 

(4)各年齢層別の満足感の必要性

a.スピードが速く強い拳法は、青少年層に喜ばれる。彼らは、少林寺の映画、テレビでの少林寺の武術学校などの表演の中でみられる武術の速さと力強さ、美しさを求めているので、速く強い拳法はこの層に受け入れられ易い。

b.中高年層は、健康志向が強くなるので、少林気功は、この層の要望に応えられる。経済が発達している国の人たちは、健康に非常に興味があり、よく注意している。特に日本は、様々な国の健康法が集まっている。中でも中国武術の中の心身統一の健康法は、人気がある。この健康法は、肉体的でなく、精神的なものもあり、外部だけではなく、内的なものもある。方法は、よく動くだけのものではなく、あまり動かないもの、またスピードも速いものだけではなく、ゆっくりしたものもある。そして、呼吸、意念の訓練法もある。だから、こういった全面的な健康法は、自然に人気になるのも頷けることである。これは、まとめて2002年に『少林寺健康法』という本にした。

c.健美ダイエット法は、女性に大人気である。少林寺周辺の武術学校を見てみると、肥満の学生は非常に少ない。もしいても、そういう人は、実際来たばかりであまり練習してない人である。だから武術の運動は、ダイエットには非常に必要であるといえる。武術の練習によって、身体の素質や体形は理想的な筋肉やスタイルを作る。こういったものは、現代の健美とダイエットで要求されるものである。たとえば、武術で足の前後への蹴り上げ、左右の足の回し蹴りは、太ももとお腹、お尻の健美に非常に良い。肩・腕を運動やパンチの練習は、上半身の健美に効果がある。気功の練習とこれによる生活習慣面の変化も健美やダイエットの効果を高めるものである。これらは、全て少林武術文化の中に答えがあり、満足行くものである。5年の実験の上に『少林寺華のダイエット』という本を2001年に出版し、好評を得ている。

d.護身術の実用は、青少年と女性に人気がある。日本は、バブル後で経済が少し下がり不景気であるが、治安も悪くなり、悪質な犯罪が増えている。最近は、こういう不安な面があるので、防衛の技術を身に付けたいと思う人も少なくない。特に伝統武術の中でみられる小さい人が大きな人を倒すというものや、強い人に対する護身術、関節技、散打などが人気である。ここ数年、各スポーツクラブやカルチャーセンターなどでも、女性の護身術のクラスがだんだん増えている傾向にある。

e.小中学生の教育面でも非常に重要である。ここ数年、日本では、小学生の殺人事件が少し増えている。また学生の間のいじめやそれによる不登校の問題も増えている。そういった学生の両親は、解決方法を探している。大体の親は、体を強くし、精神も強くし、注意力を養成できる方法を求めている。そうすると、日本や中国にあるスピードが速く、爆発力が強く、精神も鍛える心法がある直感的にわかりやすい武術や武道は、そういう人たちの選択のひとつとなる。

たとえば、中国の少林寺武術、日本の少林寺拳法、空手といったものである。最近、こういった教室に通う小中学生は増えてきている傾向にある。その結果として、肉体、精神、注意力など健康面で全体的に発展したといえる。何年か前に、日本の大学生で国際的な柔道選手が著者の教室に参加した。この人は、毎回試合で技術面で非常に自身を持っていたが、精神的に相手に負けてしまっていた。その人の話によると、練習の中にはただ、始まる前の礼だけで、心理的な訓練法はないということだった。そこで、少林寺の気功と心法を少し教えたら、本人は帰って練習し、ある程度練習を重ねると、その後の試合では、レベルはかなり上がったのである。

 

二、定期的な試合の開催

試合をする時は、できるだけ色々な国で行うのが望ましい。日本の武術・武道の組織管理は、ほとんど全部が民間で行われていて、政府の援助はない。だから、発展と普及は、その国の自然発展でなければならない。柔道、極真空手、合気道、少林寺拳法、古武術、太極拳連盟などの日本の各大きな武術組織を調べると、定期的に試合を行っている。こういった試合は、地方から全国、また世界的なものにすることによって宣伝力や集客力を強めている。

だから、中国伝統武術もできるだけ全世界的な試合を行うことが望まれる。開催地は、なるべく色々な国がいいが、もちろん受ける能力のある国で行う。そうすると、まずその周辺の国々で広められ、何十年後かには、中国伝統武術部門は、世界的なものになると思われる。だから、試合はこういった参加訓練の方向性を示している。各レベルで、選手参加資格の為の試合行い、そのための各レベルの支部も作る必要がある。そのあとに、全国そして世界的な試合を行う。こういったものには、必ずマスコミの参加もある。これは、たくさんの修練者の練習の意識を高めることにつながり、だんだん新しい生命力が入る。実際、中国の散打王者の試合の促進作用は、そのいい例である。

 

三、散打以外の伝統格闘技技術発展の必要性

武術或いは武道は、他の作用以外に自身の護身の効果や戦う技術の作用もある。こういった戦う技術の高さも世界的な広がりや知名度を左右する。中国の散打の試合は、中国武術の格闘技技術制度の重要な要素である。特に、倒す速さは、実際2秒間で有効で、これは世界の他の格闘技の中には例を見ない。しかし、格闘技の試合はみなルールが違う。だから、散打でかなり実力がある選手でも世界的な格闘技の試合ではあまり思わしくない成績になる場合がある。たとえば、日本のK1の試合に参加した散打の選手が、結果は理想的ではないことがあるのである。

さらに多くの格闘技術を使える「プライド」では、目を潰すとか、男性の急所に蹴りを入れるとか、肘を使うなどの危険な技以外、撃つ技・関節技などの他の技は色々使うことができる。一般的に、この技術は相手を抑える・動かさない、反撃させない為のもので、逆にまた自分が倒されたりして、勝敗を決めるものとなる。また点数で勝敗が判断されることもある。この格闘技は、総合格闘技の世界の最高レベルのものといわれている。ブラジルのグレイシー柔術は、寝技で倒すことが多い。しかし、この方法を使う時、まず最初に色々な技で相手を抑え、最後に関節技で倒すのである。もちろん、日本の柔道やレスリングの倒す方法にもあるが、どれもそのスピードは遅い。散打の瞬間的に倒す速さはない。特に相手のパンチなどを同時に利用した散打特有の速く・素早い実用性は見られない。

だから、散打の倒す方法と中国伝統武術の関節技、ツボの技術とタイボクシングの膝と足の技術、極真空手のパンチ技、ブラジルのグレイシー柔術の寝技、韓国のテコンドーの足技など、世界の色々な武術のそれぞれのいいところを組み合わせて訓練すれば、必ず総合格闘技の一流の選手の訓練になる。なので、こういう方面で中国も色々な方法を開放してほしい。もし、こういうことが、国で出来なければ民間で発展させてもいい。これも中国武術の地位を高めるひとつの方法である。もちろん、このやり方には危険性はあるが、試してみる価値はあるのではないだろうか。特に、中国伝統武術の関節技・ツボの技、たとえば危険なツボをさす等は、正式な試合はない。もし、こういうものも試合に入れれば、実践性のツボや関節の技がわかり、その中で新しい技術等も開発発展していくと思われる。このことは、中国伝統武術の実践性に良い影響を与えることになる。

 

四、伝統武術を普及させる形式・組織

中国伝統武術の最高組織は、国際武術連合会である。この連合会は、各会員組織で構成されている。各会員組織の状態や素質は違い、非常にバランスがいい状態である。一般の各会員組織は、大体各国の武術組織で、これは民間の団体であり、政府の声は代表できない。また、この国の他の意識も代表できない。当然他の組織に指示することも出来ない。そうすると、一つの国には一つの組織だけになる。これは、国の決めた型の競技武術の中にまとめた方がいいと思われる。中国の伝統武術は、流派が多いので、一つの組織にまとめることは非常に難しい。考えとしては、各武術団体で一定のレベルのリーダーでその国の伝統武術連合会を組織し、これを国際武術連合会の下に置き、統一行動・発展させるとよい。そうすれば、伝統武術の世界的な発展にずっと有利に働く。日本、アメリカ、ヨーロッパなどと中国で違うところは、中国は、国家武術管理センターから、各省・市・区の体育委員会と繋がっていて、一つの管理ネットワークの中で統一管理できることである。

日本、アメリカ、ヨーロッパなどは、国で統一した管理システムは難しく、政府でも組織の統一は難しい。しかし、統一行動と管理がないと、協調・協力のバランスある発展強化につながらない。現在、日本では、何百の組織の内のたった一つの組織が、最高の国際武術連合と関係がある。

 

五、人材の養成と選出の重要性

人材は、事業や将来の発展の保証である。中国伝統武術の世界的な普及と発展の為には、必ず多くの全能な人材が必要となってくる。ただ武術ができ、そのレベルが高いというだけでなく、もっと重要なのは、レベルと同時に国際交流もでき、また自分が行ったところでないところでも開拓できる人材である。だから、中国で武術が上手い管理人材を作る為には、海外に留学したり、色々な活動に参加する必要がある。また、そのように養成するべきである。そして、たとえば本人が行った先の国に残りたければ、できるだけ応援する。

実際、中国にはたくさんの国内外のチャンピオンや有名な武術家がいるので、彼らが外国に行くことは、武術の普及と発展に良い影響を与える。しかし、国際交流や国際活動の経験と開拓能力や管理能力の面で足りない部分があるので、ただある武術の団体に教えるだけだったり、高級バイトになるだけになってしまう場合があり、これは非常に残念なことである。そうなると、その人の武術の考え方やもっと深いところを伝えるのは難しい。

もうひとつ重要なことは、中国武術の管理人材で、これもまたたくさんの外国と交流や勉強の機会を与えることが望ましい。たとえば、研修とか交流会とか、試合大会、訪問、留学などの形で行うとよい。そうやって外国を直接認識することによって、自分の考え方や視野を広げることになるので、これは非常に必要なことである。

 

六、外国の武術組織の有意義な支援と養成の重要性

国際武術連合の会員、国の組織だけでなく、各国の一定のレベルの人たちへの支援をする必要がある。たとえば、毎回一定のニュースや情報、試合や会議のお知らせなどを伝えることが大事である。なぜなら、そういう団体は、その国にある程度の安定した一定の基礎を持っているので、こういう組織を基盤として発展・普及させることが重要だからである。そうすると、こういった基礎組織が中国伝統武術の種になり、将来は必ず開花し、大きな火花となるだろう。

 

七、オリンピックは中国にとって大きなチャンス

2008年に北京で開催されるオリンピックは、政治・経済・文化に大きな影響を与える。もし中国伝統武術が、種目に加われば、当然世界的に大きな影響がある。こういうチャンスを利用して、伝統武術の政策やマスコミなどの計画的・組織的活動を行えば、中国伝統武術の大きな促進につながる。

 

図1遠隔外気実験結果

 

 

図2、外気治療師の脳波波形図

 

図3、外気受信者の脳波波形図