先日、気功教室(33期)の講義中、受講者より「少林寺気功と武術の関係」について質問がありました。多くの方も疑問に思っていると思われますので、整理しておきましょう。少林寺の歴史において、「禅」や「武術」の修業の中に「気功」のエッセンスが入っているのです。嵩山少林寺は「禅武聖地」と呼ばれ、少林寺武術の総本山としてありますが、その根幹を支えているのが「少林寺気功」です。
「気功」の方法の中で『易筋経』と『洗髄経』以外の気功法は、少林寺内外において編纂されているものは少なく、少林寺の先代から続くお坊さんより受け継いできたものは、自分自身の訓練法とその弟子に伝える方法は違ってきます。そのため特長が若干異なり、気功法の要素の中に「禅」と「武術」が中心にとらえているものや、「武術」の要素が多く入っていて「禅」の要素が少ない(またはその逆)というようにまちまちなのです。
少林寺の歴代のお坊さんの中で、「気」に関して特に探求して研究し、訓練及び開発したお坊さんが私の系列の師匠でありました。少林寺気功の中の「少林寺秘伝72芸」は、「気」の集大成でありますが、なかなか理解しづらいのは、気は見えぬ存在であり、深いレベルのものである点です。人の気の流れを良くしていき身体を整えていくものですが、即効性があるというわけではありませんから、効果がすぐ出るものではありません。実際に訓練は大変時間を要するものです。
 少林寺周辺の武術学校で最大の規模である「塔溝武術学校」の創立時の校長である劉宝山氏は現在87歳位ですが、大変有名な武術家であります。
以前(15年ほど前、当協会のHPにも掲載したと思いますが)、ある体験談があります。「武術を60数年してきたが、やっと【気】のことが分かった。【気功】の理解と重要性を感じた。歳をとると何も残らなくなる。しかし【気】は歳をとっても強い。」
 また鵝坡武術学校の粱以全という人が同じようなことを言っていました。(その時の内容は当協会で保存してありますし、「月刊秘伝」という雑誌から取材があって掲載されました。)
 さらに武術学校の皆さんが、私にこんな話をいたしました。「秦先生のところでは、気功を教えられているのですね。教わる方たちは恵まれて、大変うらやましいです。今、こちらの武術学校では気功を教えられる人がいないのです。」実は、これは十数年前の話です。中国で武術を習っている人でも気功が習えないという現実なのです。
「少林寺気功」は少林寺の宝です。少林寺のお坊さんの中でも、この「少林寺気功」を習得し、指導にあたっている人は少ないのです。私は、この5~6年前より、定期的に少林寺に帰りお坊さん達に気功の指導を行っています。昨年の少林寺で「世界功夫養生大会」を少林寺と共同で主催しましたが、少林寺代表としての気功の演武を当協会の指導員が披露し、また協会員の論文発表を行い、大成功に収めました。

 現在、「全日本少林寺気功協会」は、指導員コースⅠの第38期の募集及び説明会を実施しております。是非、皆さん!このチャンスを逃さずに利用して頂き、歴史ある「少林寺気功」のすばらしさを理解して、それぞれの人生に役立てられるようにして頂けたらと思います。
どうぞふるって説明会にご参加ください。心よりお待ちいたしております。