名誉はいわば光であり、それはすべての人間が関わるものです。ただ光と違うところは、名誉というものは他人から羨ましがられ、そこから嫉妬になります。
だから名誉をもらう人は必ずいつでも他人の評価に気をつけないといけません。
 また権利を持っている人は他人から尊敬され、自分の希望と理想を実行する事は出来ます。だから両肩に掛かる重い負担があるがゆえに高い地位にいるという満足感は薄くなります。
逆に高い地位にいない人は両肩の負担は無く本当に楽しいでしょう。
 中国のある詩に中には「自分の地位が低くても、お金が無くても、自分の気持ちは安定している。これが本当の幸せの状態である」という意味を詠ったものもあります。
 春秋戦国時代の魯の国にある武官がいました。
この武官は他人からの贈り物は決して受け取らず、死ぬときには服も無くすごく貧乏な生活のままでした。このような彼の生きた方がどのような結果を人生に及ぼすかは当然に本人も理解していました。
 しかしいくら貧乏をしてもこの武官は「道」に従って生きていましたので、生きている間、心は安定していました。人より物質を欠き貧乏してもまったく苦になりませんでした。
死んでからこの人は健康の「康」の号をもらいました。その「康」の当時の意味は、快楽の人というような意味です。
その人が死んで千年経ってもその人と比べられるような人が世に出てきた事はありません。その人は孔子と同じような人生を歩み、心の満足を追求し、同時に死んでからも後世の人に影響を与えました。