当協会で教える少林寺気功、または武術を修業していけば、精神の面や身体の面で向上させることが可能であります。しかし(これは一般的であり、)重要なことは『人間性』の変化です。これは理論的な話をしている訳ではありません。これまでもたくさんの修業する者を観察した上で言えることなのです。

残念なことは、現代社会において、この重要性が増しているにもかかわらず、理解していない人がたくさんいるのです。特に日本の場合、人間性(の精神)を重んじる傾向があり、そうした文化を持っていたはずです。

 

人生を遠回りさせないように、今回は(以上のことをテーマに)話をしたいと思います。しっかり押さえておけば、誰でも人生を豊かに楽しく、さらに早く目標に達することができるのです。

人間性の低下(欠ける状態)は、社会環境や家庭や仕事における人間関係な中で、自己中心的行動をとり、また周りに不信感を持っており、距離をおこうとします。それではどんどん負の連鎖を招き、悪循環となります。結果、物事の失敗の原因となります。これでは当然、人生は不幸の道のりを歩むことになります。もし学問の知識やテクニックを持っていても、自分は頭が良いと思っていても、またセンスがあると思っていても、決して良い方向へいくことはないのです。

ここ最近のことですが、久しぶりにある知り合いと会いました。実はこの方が、上記のような性格の持ち主でした。本当は人生を幸せにすることができる方(元々、豊かな生活を送っていました。)です。初めて会った頃は、その話し方には誰でも「あぁ、この人は知識を持った、すごい人だな」とインテリの印象を受けるような方でした。

私は最初の頃、その方をよく観察しました。人間性について気になった時には、アドバイスをしたこともありました。調和することが大切な中、口ばっかり達者では、人は信用しません。やはり人生の豊かさと知識とは関係なく、周りのことを考え、行動することが重要なのです。その方にも、その点に気をつけていけば良いと話したり、また人間性の向上によって幸せになるとも教えたことがあります。しかし、その方はあまり聞き入れませんでした。

表面的な部分で、相手(まわり)に攻撃的であったり、自分の方が何でも知っていると自慢げになるという態度では人間性が欠けており、良い結果な訪れないことでしょう。しばらくして、その方は以前、会社でも良い待遇であったと聞いておりましたが、結局仕事が続かなかったそうです。その後、自分でも会社を立ち上げたとのことですが、失敗に終わったのことだそうです。

さらに恩人を裏切ったり、普通では考えられないような激しい気性になってしまいました。今回、久しぶりに会った時、すでに貯蓄もほとんど無い状況とのことでした。当協会にも「借金」をしてしまいました。これでは人生は不幸であると言わざるを得ません。端から見ても悲しい限りです。

一方、別の身近な知り合いの方(すでに定年を迎えている)は、体もそんなに丈夫ではありません。また物覚えも良くない方ですが、人当たりも良く、誠実さを持っています。人生を一歩一歩進んでいるようです。人生、定年を迎えたら、ゆっくりとのんびりと年金生活でも構わないはずです。しかし、それでは体が鈍ってしまいます。それではいけないと再就職(駅構内の警備員)をしました。そのため収入もありますから、生活も安定して、とても楽しく過ごしているようです。私もその人を応援しています。

少林寺と関わる人は、少林寺の技術だけでなく、特に少林寺の精神、そして少林寺の人間性に意識を持ち、修業を通じて自己改革していくことが大事です。もちろん完璧に、というのは難しいですが、まずは自分自身が周りの人々に違和感を与えない人物になること、そして欠点を直していくことです。それがはじめの一歩なのです。運命を変える入口なのです。

そうして、良い気が巡りはじめていき、良い運命が訪れることでしょう。