8月18日の体験談
榎原・村山(武術教室)
修行の旅3日目は、少林鵝坡武術専修院という学校への留学でした。中国の武術の歴史は、興隆する時もあれば、時の権力者によって武術が禁じられ、表立って練習することもできない時代もありましたが、この学校はそんな難しい時期にも武芸を脈々と継いできた家によって1980年代に創建されたとのことで、今ではも2万人を超える生徒を抱える名門校です。私たちが教わったのは、扇子功。近所の武器屋で購入した、練習用の扇子を使い、まずは勢いよく扇子を開いたり、閉じたりする練習を行いました。これまで私は、剣使う套路はいくつか教えてもらっていましたが、武器としての扇子を使うのは初めてでした。開いた扇子が腕と平行になるよう、閉じた扇子は腕の延長になるようまっすぐに伸ばすこと、などの基礎を習いました。教師役は18歳の王琳(ウー・ピン)先生。学生ですが、武術歴12年、年配の私たちに懇切丁寧に教える姿は、立派な老師です。套路(型)は立ち姿からしゃがみ、扇子を開きながら飛んで一回転、弓歩や馬歩をしながら扇子を開閉したり、片足を上げて回転して最後はピタッと止まって扇子を開いて止めるなど、カンフーの基礎に扇子の優美さが加わる美しい套路だと思いました。短いので参加者は一日で覚えることができました。日本に帰ってもみんなで練習して、上手に演武できるようになればいいなと思いました。
武術学校では私達は朝8時半から練習が始まりまりましたが、
生徒さん達はとっくに朝早く起きて学校内の掃除をして、校庭を走ったりしてから練習を始めています。「イー、アール、サン、スー!」と元気良く掛け声をかけて皆で揃えて走っていました。
午前中は11時半までの3時間で、午後の練習は15時半分〜17時半なので、午前と合わせると5時間です。
途中、秦先生の知り合いの(この学校の)先生が来て下さり、小さい生徒達を連れてきてくださいました。そしてこの子供達による演武披露が始まりました。秦先生はこの先生が生徒の時から知っているとの事で、昔からの馴染みという事でこの子供達の演武披露も都別なサービスです。
童子功を披露してくれる生徒も居れば、バク転連続の演武で魅せてくれる生徒もいました。皆んなとにかく身体が柔らかいです。でもそれも、毎日フェンスなどの手摺りの様な所に足を乗せて痛い思いをしてストレッチして可動域を上げていっている賜物なのです。実際に練習時間や休み時間に足上げや弓歩や馬歩を長時間耐えている生徒の姿を目撃しました。
今日は日曜日だというのに、沢山の生徒達が校庭や練習場で自主練をしている事からもその努力をうかがうことができます。
ウーピン先生が練習の合間に見せてくれた撲歩からの股割り、そして反対側の撲歩という一連の動きだけとっても、人間はそこまで低く股割りできるんだ、とびっくりさせられました。例えるならEXILEの何人かで股割りでグラデーションに動く動作に似ていますが、ウーピン先生の動作はお尻が床に着きそうなぐらい低いのです!
改めて自身の股関節や膝の固さを思い知らされました。日本に帰ってからも、今からでも諦めずに、より少しでも可動域を広げるためのストレッチを続けていこうと思いました。
榎原・村山