★少林寺での演武

 

812日、天気は晴天です。いよいよ少林寺境内の管長の前で演武が始まりました。演武の順番は、
気功協会指導員I 35期の  鶴功36
安達登先生双節棍
金谷義孝先生屋良小のトンファー
松本幸三鎮東公相君
高橋貫太  沖縄上地流空手三十六
元博通  浜比嘉之トンファー
祖父江利  八歩連、儀和之鎌
渡邊俊行  鐘川の鉄甲
下田柔心  浜比嘉之釵
吉川、飯塚  公相君
飯塚バット折  

吉川ブロック割
の順でした。
演武中は観光客など多くのギャラリーがカメラを構え、まるで写真撮影会の様でしたが、清々しい雰囲気も漂っていました。演武後、管長からは

 

「武道(武術)が本当に好きだという心が伝わってきました。年配の方も多いのに、このレベルでの演武は素晴らしかった。何十年も練習しなければ、このようなしっかりとした力の出し方はできません。練習の賜物だと思います」

 

とのお言葉をいただきました。続いて表彰式、そして記念写真撮影です。管長は多忙のため、ここで席を外されました。

 

 

★延琳さんからの話

 

その後、少林寺薬局に移動して少林寺の副管長である延琳さんにお会いしました。通訳は秦先生です。延琳さんが「何か質問があれば、それにお答えします」と言ってくださったので、私たちからは最初に

 

「健康のために何が一番大切ですか?」という質問がしました。

 

以下、延琳さんからのお答えです。

 

「健康には『楽(らく)』ということが大切です。快楽の楽という字のことです。薬師如来の薬の字と楽の字は似ています。人間の苦しみや諸悪の根源には、仏教でいう『三毒』があるといわれ、それは

  1. 貪(とん)…貪欲。必要以上に欲張る心
  2. 瞋(じん)…怒りの心
  3. 痴(ち)…無知。おろかなこと 

です。『私は、私は』と自分のことばかりではダメなのです。私というものを消して、無私(無欲)になれば心が静かになります。人のために無私になれば、根本的な悩みは無くなります。智慧の慧は慧(けい)と書きますが、重要なポイントです。

また、仏教用語に『定(じょう)』という言葉があります。これは心が乱れずに静かな様を表します。これは座禅の修業で得ることができます。さらに国、企業、地域のルールを守ることができれば、穏やかな世界になります。中国は、まだ『戒』の段階です。日本は『定』の段階に入りました。日本の皆さんは座禅が好きな方が多いので、日々修業をしていることになるのです。人類が互いに無条件であげることができたとしたら、この社会は絶対にいい社会になります。私たちが無欲となり人にあげる、逆に薬師如来からはいただくことができて、お互いにやりとりができるのです。いくら財産を持っていても、差し出す心がないと絶対に苦しくなります。例えば政治もそうです。中東で色々な問題が出ているのは、そこが問題だからです。みんな返す。大切なのは、それだけです」。

 

「今は昔とは違ってインターネットの時代になり、世界が繋がっています。世界中の国々が、自国の文化ばかり主張すると必ず衝突が起こります。禅の文化は、『私』を超越する文化です。もし地球が、まるごと自分の家だと思えばそんな問題はなくなります。例えば私自身も座禅をしますが、その時には月の上から地球を見て座禅をしています。そうすると、ものの見方が違う。私たち人類の今のレベルはまるで幼稚園児のケンカのようなもの。今日はこの二人、次の日はこっちの二人で仲良くしていて、そこに『智慧』はありません。

これを解決する方法は、

  1. 交流の場を持つこと。そして一回会って話したら仲良くなっていくように交流する。心がグッと近くなる
  2. 教育を重んじること。世界の歴史を勉強するだけでなく、相手の立場も尊重し、理解して貢献するにはどうしたらいいかという視点で考える
  3. 相手を愛すること。男女の恋愛だけではなく、人類がみんな友達であり、家族だと思えばケンカにならない。

 

他人を愛する気持ちを持てば、自分にも快楽が訪れます。自分から他人に伝えるのです。

ここで私が話す快楽の考え方は、いわゆる世間一般の快楽とは違います。そういう意味では、仏教として修行する人には快楽はないともいえます。つまり、見方が違うと結果が違うのです。例えば、死ぬ=往生するとも書きます。往復の往は、新しい処にいくという意味です。だから死ぬ時にも楽しくいける。また、日本は東日本大震災の津波で大きな被害がありましたが、この経験を乗り越えることによって、将来に向けたいい経験になると考えます。
仏教の有名な言葉に『悩むことで智慧を貰える』というものがあります。苦しみが最後に快楽に変わるのです。世界で起きている問題も、最後は解決することができます。

 

 

次に気功協会から二つ目の質問が出ました。

「病気になったら、何に気をつけるべきか?」

 

以下、延琳さんからのお話です。
「病気は、陰陽の陰と関係があります。病になるのは自然の流れですが、それぞれ持って生まれた性質(

生命の質)はあります。修業をしていると、病気が流れる(治る)こともあります。
禅でいう病気を治す薬は4つあります。
①心薬(しんやく)=心の薬のことです。
例えば瞑想の時、心を静かにして病気はどこにあるかをイメージします。具体的な病気が分かっているのなら詰まっているところを通る様に自分でイメージしてください。効果が出るには多少の時間がかかります。

②身薬=体の薬
身体の薬とは、自分の気血の流れをいいます。『気は血のリーダー』ともいうように、全身のツボ経絡に病気で詰まっているものを通すようにします。気功の練習(練功)も効果的ですし、ツボを叩くのもいいです。
③法薬
病気は必ず原因があり、外因内因の両方に原因があると考えます。外因とは外部からの風、寒さ、暑さ、乾燥、湿気などの影響によるものです。また仏教でいう『三業』というのがあり、前世から連れてきた病気もあるといわれています。また、先ほど話した『三毒』(自分中心の心)が原因で病気になることもあります。無私になって人にやってあげるという心持ちが大切です。

④食薬=医食同源の意味です。

日常生活で食べるご飯や野菜、お茶、日本の納豆、味噌汁など健康にいいものを食べてください。調味料もここに入ります。

ベストはこの4つの薬です。

それ以外は漢方薬で治す。漢方のレベルは、この4つの薬より低く、さらに低いのは西洋医学の薬と考えています。そして、最も低いレベルは外科手術の医療です」。

 

その後、延琳さんは質問した方に具体的な漢方薬名を教えてくださり、身薬としては、気功やマッサージ、武術の練習が向いていて、法薬としてボランティア活動を沢山やってくださいとアドバイスしていました。また、寝る前に少しずつ薬酒を飲み血行をよくし、麻婆豆腐など辛い食べ物は経絡がよく流れるので、胃腸が丈夫であればそれも効果的ですよとおっしゃっていました。

 

時間が押していたので、延琳さんの話はここで終了し、急いでお昼ごはんの 精進料理を食べに全員で移動しました。

ありがたいお話、丁寧に教えてくださって、ありがとうございました。

 

(Y.T)